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簿記とFPどちらを取得すべきか?2つの資格の違いや取得メリット

簿記とFPどちらを取得すべきか?2つの資格の違いや取得メリット

人気資格の「簿記」と「FP」の違いについてまとめました!

お金に関する資格を取りたいけど「FPと簿記ってどっちを取得するべき?」というのはありがちな疑問です。

事実、わたしも会社の都合でFPの資格を取りましたが、それ以前には簿記の資格を取ろうか迷っていた時期がありました。

このページでは簿記FPの違いや特徴を解説し、最終的にどちらの資格を取るべきかをまとめました!

「簿記」と「FP」2つの資格の違い

「簿記」と「FP」2つの資格の違い

さて、まずは2つの資格について、大体どんなことを勉強するのかを確認していきましょう。

-2つの資格の違い- 簿記とは

簿記とは、かんたんにいうと「財産や売買に関する営業取引の記録をつけること」です。

なぜこういった記録をつけるのかというと、その会社の利害関係者に「うちの会社の財務状態はこういう状態ですよ」と報告するためです。

管理人

利害関係者とは、その会社の「株主」、「債権者・金融機関」、「取引先」、「従業員」などを指します。

報告は「財務諸表」と呼ばれるものを作成し報告するわけですが、その記録にはルールがもちろんあり、そのルールに沿って記録する技術が「簿記」です。

こういった記録をつけることで、企業活動によるお金の出入りがわかるようになります。つまり、簿記資格の勉強をすると「資産の変化がわかる」ようになるのです。

簿記資格を取ることで身につくこと・メリット

  • 帳簿や決算書の読み方がわかるようになる
  • 財務諸表から企業を分析できるようになる
  • 経営・財政の感覚が身につく
  • 就職や進学に有利になることが多い

簿記は公的資格

資格には「国家資格」、「公的資格」、「民間資格」とがありますが、簿記は公的資格となります。

公的資格とは、国家資格と民間資格の間の位置づけとなり、文部科学省や経済産業省などの省庁が認定する資格です。

そのほかの公的資格には、たとえば「秘書検定」、「英検」、「証券外務員」などの資格などがあります。

ゆり

国家資格ほどではありませんが、省庁が認定しているだけあって、民間資格よりも社会的信用力を持つ点が特徴です。

簿記は2級から受験可能

簿記は3級を取らなくても、いきなり2級に挑戦することができます。ただし簿記2級は3級の知識をベースとしているので、順序よく取得した方がスムーズではあります。

また、簿記3級の試験科目は「商業簿記」のみですが、2級では「商業簿記+工業簿記」といった科目構成となり、より複雑なものになります。

3級と2級を併願して一気に受験することも可能ですが、時間に余裕があるのであれば、順序よく3級 → 2級を受けたほうが気持ちの余裕ができるでしょう。

-2つの資格の違い- FPとは

ファイナンシャルプランナー(以下FP)は、言うなれば「家計の総合アドバイザー」です。

家計に関わる悩みを持つ人に、お金の専門家として相談・サポートをする職業となります。

たとえば、次のようなアドバイスをすることがFPの仕事です。

  1. 家計管理について
  2. 年金や社会保険制度について
  3. 住宅ローンの借り方・借り換えについて
  4. 投資商品のしくみや運用方法
  5. 保険の考え方やしくみ
  6. 税制のしくみや控除について
  7. 遺産相続や贈与

このようにFP資格の勉強をすると、身の周りの金融知識を幅広く学ぶことができ「家計管理にまつわる知識が身につく」ようになります。

FP資格を取ることで身につくこと・メリット

  • 金融全般の知識がつく
  • 家計の見直しやライフプラン作成ができるようになる
  • FPの仕事だけでなく、私生活にも活かせることができる

FPは国家資格

簿記は公的資格でしたが、FP技能士は国家資格となります。

国家資格は言うまでもなく国が認めた資格であるため、社会的信用力は高いものがあります。

管理人

ただし、FP3級は比較的かんたんに取れてしまうため、就職などに有利なのはFP2級からとなるでしょう。

また、FP技能士は国家資格ですが、その他にも民間資格として「AFP」、「CFP」といったものも存在します。

FP2級受験には資格を満たさないといけない

FP2級は簿記2級とは違い、いきなり受験はできません。受験には下記のような資格が必要となります。

FP2級の受験資格
受験資格のある人 必要なもの
日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者 AFP認定研修の受講者番号(13ケタ)
3級FP技能検定の合格者 3級合格番号
FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者 勤務先名と経験年数
厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者 合格証書(合格を証明するもの)のコピーを添付

一般的なのはFP3級を合格してから2級に挑戦するというパターンです。

もし「3級を受けたくない」、「AFPも目指したい」といことであれば、通信講座でAFPの認定研修を受け、いきなり2級を受験するといった方法もあります。詳しくは下記の記事をご参考ください。

簿記とFPの違いについてかんたんに解説しました。

両方ともお金に関する資格であることに間違いありませんが、「簿記は会社が対象」、「FPは個人が対象」というイメージでよいでしょう。

ここからはさらに深堀りしていきましょう。

2つの資格の合格率・難易度の違い

2つの資格の合格率・難易度の違い

簿記とFPの合格率については、おおよその数値ですが下記のようになっています。

簿記・FP試験の合格率の比較
資格名 合格率
簿記3級 40%〜50%ほど
簿記2級 15%〜25%ほど
FP3級 65%〜75%ほど
FP2級 30%〜40%ほど

簿記試験の難易度について

簿記3級は約半数が合格する程度の難易度となり、勉強時間の目安はおおよそ100時間程度です。

簿記2級は毎回の難易度がかなり変わるため、合格率にはムラがあり、10%台前半ということもままあります。

簿記3級を持っている人でも、勉強時間の目安はおおよそ250時間ほどはかかり、初心者であれば400〜500時間は覚悟しなければいけません。

かかる時間が250時間だとしたら、1日に3時間の勉強時間をとったとしても83日。おおよそ3か月弱はかかることになります。

FP試験の難易度について

一方のFP3級は比較的取りやすい部類に入り、目安の勉強時間50時間程度でしょう。

しかし、FP2級は試験の難易度がぐっと上がります。FP3級試験ではマルバツ問題がありますが、FP2級では4肢択一式となり、深く理解していないと答えることができません。

このようにFP2級ではじっくり勉強することが必要なため、簿記2級よりは短いですが、それでも勉強時間は100時間程度が必要でしょう。

難易度に関しては、上記のように簿記の方が全体的に高く、FPは低い傾向にあります。

FP3級以外は、かなりの覚悟をもって勉強をしなければ合格することはむずかしいといえます。

ゆり

就職活動に持っておくならどちらの資格がいい?

就職活動に持っておくならどちらの資格がいい?

職種にもよりますが、多くの会社で必要とされるのは圧倒的に「簿記」です。

経理・財務などに限らず、営業経営など、多くの場面でその知識を活かすことができます。

なかには、入社した後に資格取得を必須とする会社もあるくらいで、簿記2級ともあれば採用担当者の目には止まりやすくなり、好評価も得られやすいでしょう。

管理人

一方のFPは、必要とされる業界は限られてきます。

必要とされるのは金融・保険・証券・不動産業界などに限られてしまい、それ以外の業界ではあまり評価されない資格といえます。

こういったことから、進みたい業界が金融・保険・証券・不動産業界などであれば「FP」を優先し、それ以外の業界であれば「簿記」を優先すればいいでしょう。

また、どちらも3級は基礎的な位置づけで評価は微々たるものなので、採用担当から高評価を得たいのであれば2級を目指すことをおすすめします。

結局どちらを取得するべきか

簿記資格とFP資格のどちらを取得するべきか

ここまでで色々な違いをみてきましたが、結局どちらを取得すべきか判断はついたでしょうか?取得すべき資格は、自分がどのようなプランをもっているかによって変わってきます。

いくつかの判断基準を用意しておきましたので、項目が当てはまる方を優先しましょう。

簿記資格取得に向いている人

  • 幅広く会社に認めてもらえる資格が欲しい人
  • 経理・会計の基礎知識を身につけたい人
  • 税理士の受験資格を目指す人
  • 下記のような仕事をしたい人、もしくはしている人
  • - 企業の経理・財務
  • - 会計事務所のスタッフ
  • - 税理士事務所のスタッフ
  • - そのほか営業職や販売職、コンサルタントなど

FP資格取得に向いている人

  • 私生活に関わる資格を取りたい人
  • 身の周りのお金に関わる制度やルールを知りたい人
  • ライフプランニングを自分で立てたい人
  • 人の役に立つ資格を取りたい人
  • 下記のような仕事をしたい人、もしくはしている人
  • - 金融業界
  • - 不動産業界
  • - 保険業界
  • - 職業としてのFPなど

このような基準で片方を取得するか、もしくはどちらも取得するかを決めていくといいでしょう。

入社した後でも、その業界に活かせる資格であれば、取得すると社内の評価アップも目指せますよ。

資格取得の順番

取得の順番

さて、最後に「どちらも取得したい」という人が、どういった順番で取得すればいいかを考えていきます。

先ほども一度お伝えしましたが、取得の順序はその人によります。つまりは「自分の目的によって取得順序を変える」ということになります。

就活に向けて資格を取得したい場合
金融・保険・不動産業界ならばFPを優先
事務・経理を希望しているなら簿記を優先
とにかく資格をたくさん取っておきたい場合
多くの会社から評価される簿記を優先し、その後にFP資格を取得

このような優先度で資格を取得していくといいでしょう。

2つ同時にとれるのか

2つ同時にとれるのか

早く資格を取りたい人は同時期の取得を目指す人もいらっしゃるでしょう。

どちらも3級であればまだ現実的ですが、2級以上ともなると片方の勉強だけで手一杯になってしまうでしょう。

高校受験、大学受験などのようにしっかり時間を取れるのであれば別ですが、特にまとまった時間の取れない社会人には、2つの資格を同時に進めていくことはおすすめしません

管理人

そもそも、片方の資格を一気に取ってしまったほうが効率の面でもいいと思います。

まずは先ほどの優先度などをもとに、1つの資格を定めて、そちらに全力投球をした方がいいでしょう。

結論としては、取れなくはないがむずかしいということになります。

ただし、どちらの資格も1年に3回受験ができるので、試験の結果・タイミングなどによっては、結果的に1年のうちに両方とも取得できるかしれませんね。

簿記とFPの資格についてまとめました。どちらも人気の資格ですが、資格の内容や優先度などにはかなり違いがあることが分かりました。

ご自身の立場や、これから目指したい姿をもとに取得すべき資格、順序などを考えていきましょう!