FPの実技試験とは?内容や試験機関の違いを解説!
FP試験の実技試験は独特!違いをしっかり理解しておきましょう。
FP試験には2種類の試験科目があります。それが「学科試験」と「実技試験」と呼ばれるものです。
FPの資格は、どちらかを合格すればOKというわけではなく、この2つのどちらも合格することによって、晴れて資格認定となります。
ところが、このうち実技試験については、受ける試験機関も含めて数種類ある中から選ぶことになり、初めて受ける人はどれを受ければいいか迷ってしまうでしょう。
このページでは、そんな実技試験の種類の違いについて解説していきます。
FPの実技試験とは?
実技試験といっても、実際のファイナンシャルプランナーの仕事のように対面で相談するということではなく、学科試験と同じく「筆記試験」となります。
実技試験で問われるのは「応用力」です。学科試験では正しい知識をどこまで覚えているか、ということを問われますが、実技試験ではその知識を前提に、具体的な事例をもとにした計算問題などが出されます。
応用力と聞くと戸惑ってしまいますが、出題範囲は学科試験と同じなので身構える必要はありません。過去問をじっくりおこなえば十分に対応できます。
また、出題方式についでですが、FP3級はマークシート方式(学科試験と同じ)で、FP2級になると記述式になります。
とくにFP2級は、解答の単位を間違わずに書くという注意力も必要になります。時間も短いので、FP2級は「正確さ」と「スピード」も同時に問われます。
実技試験の難易度
応用力を試すのであれば、学科試験よりも実技試験の方がむずかしそうだなと思いますが、意外にも実技試験の方が合格率は高いものとなっています。
2016年の内容ですが、結果は下記の通りです。
受験した人数 | 合格した人数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
FP3級学科 | 47,541 | 33,841 | 71.18% |
FP3級実技 | 36,180 | 44,750 | 80.85% |
FP2級学科 | 54,789 | 20,754 | 37.88% |
FP2級実技 | 40,865 | 21,096 | 51.62% |
このようにFP3級、2級のどちらも、実技試験の方が合格率は高いものとなっています。
だからといってかんたんなわけではない!
この結果をみると実技試験がかなりイージーな印象を受けますが、実は管理人はFP2級の実技試験に一度落ちました。
というのも、比較的かんたんなFP3級の実技試験の延長で考えていたため、少し侮っていたというのが本音です。
合格率の高い実技試験といえど、対策をしっかりと練らないと普通に落ちることもあるので、十分に注意しましょう。
実技試験の種類
さて、冒頭でもお伝えしていた種類についてお話していきます。
まず、FP試験の試験機関ですが、「日本FP協会」と「きんざい」の2種類があります。まずそこで2通りに分かれ、きんざいの実技試験では、さらに下記のように複数に分かれます。
級 | 試験の名前 |
---|---|
FP3級 | 資産設計提案業務 |
FP2級 |
級 | 試験の名前 |
---|---|
FP3級 | 個人資産相談業務 |
保険顧客資産相談業務 | |
FP2級 | 個人資産相談業務 |
保険顧客資産相談業務 | |
損保顧客資産相談業務 | |
中小事業主資産相談業務 |
日本FP協会で受験するのであれば自動的に実技試験は「資産設計提案業務」となります。
一方、きんざいで受験する場合、3級では「個人資産相談業務」か「保険顧客資産相談業務」のどちらかを選んで試験に挑むことになります。
また、きんざいのFP2級では、さらに「中小事業主資産相談業務」と、「損保顧客資産相談業務」という試験も選べますが、合わせて10%未満という受験率なので、多くの人は3級と同じ実技試験を選びます。
これらのことを踏まえて、これからお話する実技試験の内容の違いについて、しっかりと目を通しておきましょう。
【日本FP協会の実技試験①】資産設計提案業務
試験の内容は、次に說明するきんざいの個人資産相談業務と似ています。特徴は学科と同じくすべての分野から出題されることです。
範囲が広いように思いますが、裏を返せば「広い分、浅い」問題が出される傾向にあります。
学科試験と同じ範囲なので、一番スタンダードともいえますね。
管理人も受験しました!
管理人は日本FP協会で挑戦しましたので、実技試験は資産設計提案業務で受験しました。
試験を終えての感想としては、FP3級は「非常にかんたん」。FP2級は「けっこうむずかしい」といった感じでした。
先ほどもお伝えした通り、管理人は一度FP2級で落ちてしまいましたが、対策をしっかりとおこなっていれば、乗り越えられるレベルかと思います!
【きんざいの実技試験①】個人資産相談業務
この試験を選ぶ人の比率
約65%
日本FP協会の資産設計提案業務に相当する内容となっています。違う点はリスク管理の問題問題が出ない点です。
きんざいで受験した場合はほとんどの人がこの試験を選ぶので、多くの参考書が対応していて、勉強が進めやすい試験ともいえます。
【きんざいの実技試験②】生保顧客資産相談業務
この試験を選ぶ人の比率
約27%
保険分野の出題の配点が40%を占める点が特徴の試験です。将来生保関係の職業に就きたい人は、選んでおきたい内容になっています。
出題される内容は保険関連の経理についての問題なので、簿記3級を持っていると、ある程度有利に進められるものとなっています。
【きんざいの実技試験③】中小事業主資産相談業務
この試験を選ぶ人の比率
約7%
中小事業主資産相談業務は、その名の通り、中小企業の経営者などへのファイナンシャルプランの提案を想定した実技試験です。
企業年金や非上場株価計算など、他の試験科目では出ないような設問が多いことが特徴です。
FP1級では、富裕層に向けたコンサルティングに重きを置いた試験内容なので、そちらの試験と似たような内容になっています。
将来的にそういった仕事に就きたい人や、FP1級を目指す人であれば選ぶとよいでしょう。
【きんざいの実技試験④】損保顧客資産相談業務
この試験を選ぶ人の比率
約1%
損保顧客資産相談業務は、生保顧客資産相談業務の試験内容とほぼ変わりませんが、生命保険・医療保険などの問題は含まれません。
自動車保険・火災保険・地震保険などの損害保険について特化した試験内容となっていて、生保と同じく、将来の職業に関わるようであれば、おすすめできる実技試験となっています。
「受験者数の少ない生保関係」を除いた実技試験の出題範囲は下記の通りです。
きんざい個人資産 | きんざい保険顧客 | 日本FP協会資産設計 | |
---|---|---|---|
ライフプランニングと資金計画 | ◯ | ◯ | ◯ |
リスク管理 | 出題なし | ◯ | ◯ |
金融資産運用 | ◯ | 出題なし | ◯ |
タックスプランニング | ◯ | ◯ | ◯ |
不動産 | ◯ | 出題なし | ◯ |
相続・事業承継 | ◯ | ◯ | ◯ |
結局どれを選べばいいのか?
きんざいの方が出題分野は少ないですが、その分、問われる知識の深度が深く頭を使う問題が多い傾向にあります。
逆に、日本FP協会は出題分野は広いものの、素直な問題が多い傾向です。
このあたりは知識量や好み、働きたい業界の関係もあるので、試験を受ける前に過去問をざっと眺めて、自分が解きやすいと感じた方を受ければよいかと思います。
もしそういったものがなく、一般的なものでよければ日本FP協会の「資産設計提案業務」、次点できんざいの「個人資産相談業務」をおすすめします。
実技試験に向けての勉強の進め方
さて最後に実技試験に向けての勉強の進め方ですが、基本的には直近の過去問を数回ほど解くと、かなり傾向はつかめるかと思います。
ただし古すぎる過去問は制度が変わっているものもあり、余計な混乱を招くので、新しいものを中心におこなっていきましょう。
また、FP3級は問題ないかと思いますが、FP2級ではあることに注意しなければいけません。その注意すべき点とは「時間」です。
2級の実技試験の問題数は40問。1問を2分15秒で解いていってちょうどとなります。しかし、確認時間も必要なのでそれをいれると1問2分ペースでしょうか。
学科とは違い、計算問題で時間を取られてしまったり、単位間違いなどの考えていなかったことも起こりえます。速さと正確性が求められるので、なかなかの難易度のように感じます。
私は試験前の対策として90分をしっかりと計り、日本FP協会のホームページに掲載されている過去問題を過去2年分解き、さらにSTUDYingのセレクト過去問題集を解きました。
これくらいすると、出題されそうな問題の傾向といっしょに、時間の感覚もつかめてくるのではないでしょうか。
さて、FP試験の実技試験についてお分かりいただけたでしょうか。後は実際にどれを受けるかは過去問をみるのが一番手っ取り早いでしょう。
もし、それも手間であるようなら、日本FP協会の実技試験を受けておけば間違いはないかと思います。
問題の傾向をつかみ、試験時間の意識もしながら効率のいい学習をしていきましょう!